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かって熊野詣で賑わった熊野古道。
いくつかの路がありますが、そのうちの一つ紀伊路を海南駅から紀伊宮原駅のルートを歩いてきました。
このルートには、熊野一の鳥居跡や熊野九十九王子(くじゅうくおうじ)の中でも、特に格式が高く別格とされた藤白王子(現在の藤白神社)があります。
間にある藤白峠と拝の峠の二つの峠は、急坂で難所と言われたところです。

〈九十九王子〉
熊野古道沿いに在する神社のうち、主に12〜13世紀にかけて皇族・貴人の熊野詣に際して先達をつとめた熊野修験の手で急速に組織された一群の神社をいい、参詣者の守護が祈願された。その分布は紀伊路・中辺路の沿道に限られる。(Wikipediaより引用)

行程
IR天王寺駅7:27=(和歌山駅乗換)=8:55JR海南駅9:01ー9:18藤白神社9:24ー9:35四丁石地蔵ー9:56筆捨松ー10:05藤白峠(地蔵峰寺・じぞうぶじ)ー10:40土橋ー10:47橘本(きつもと)神社10:51ー11:07山路王子神社11:09ー11:49拝の峠(はいのとうげ)ー12:04蕪坂王子跡ー12:16爪書(つめがき)地蔵尊ー12:32山口王子跡ー12:54JR紀伊宮原駅12:59=(和歌山駅乗換)=JR天王寺駅 距離約11.7km、所要時間(休憩含む)3時間52分、累計高度(+)約582m(ー)585m


海南駅東口を出て、JR高架線に沿い、南へすすみます。

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海南駅東口

10分ほど歩くと、左に藤白神社の案内があり、左折すると、すぐに熊野古道の石標、王子跡の道標が立っています。
「熊野一の鳥居跡」の案内板があり、かってはここに鳥居があったと書かれています。

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横断歩道のところで左折

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すぐの角を右折、石標、道標、案内板がたくさんある

民家の軒先や沿道には、熊野古道の提灯が吊り下げられています。

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直進して藤白王子跡へ

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この道は、小栗街道と呼ばれていた

道なりにすすむと、藤白神社です。

藤白王子は、熊野九十九王子の中でも切目・滝尻・発心門王子などとともに、五躰王子(ごたいおうじ)と呼ばれ、本宮の若一王子をはじめ、五所王子を勧請して、五座の神々を祀った王子社のひとつ。
社殿なども他より優れ、奉幣の儀式も丁重で、格別の崇敬を受けています。
(公益社団法人 和歌山県観光連盟 わかやま観光情報より)

鳥居左側の石碑には「藤白皇大神社」とあり、鳥居をはさんで右には楠の大木。

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右の大きな楠が直ぐ目に入る

神社には、楠の大木が5本あり、そのうち鳥居脇にある3本の楠は、子守の楠神さんとして親しまれ、信仰の対象となっています。

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幹に触れてパワーを戴きました

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「三代重ね石」背後の大楠

植物学者として著名な南方熊楠も、この神社に祈願して名を受けたそうです。

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本殿

境内には、有間皇子(ありまのみこ)が祀られた有間王子神社や万葉歌碑があります。
天皇の継承を巡って、血なまぐさい争いの犠牲になった皇子で、謀反の疑いをきせられ19歳の若さで処刑されています。

藤白の み坂を越ゆと 白妙の わが衣手は 濡れにけるかも(万葉・捲9)

また、鈴木屋敷というのがあり、全国の鈴木姓のサミットやフォーラムも行われています。

藤白神社を出て、阪和道の下を抜け、しばらく行くと右に、有間皇子のお墓があります。

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有間皇子のお墓、丁石地蔵の一丁目地蔵もある

だんだんと傾斜のある道に変わり、周りはみかん畑が広がる景色となります。

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みかんの採り入れ真っ最中

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すすむに連れ、傾斜がきつくなる

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振り返って、海南市街地を見る

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藤白峠まで丁石地蔵さまが見守ってくれる

さらに登っていくと、左に熊野古道の石標と四丁石地蔵があり、階段道が続いています。
ここで舗装道と別れ、山道の古道を登っていきます。

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左の階段を登る

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階段とりつきの四丁石地蔵

丁石の地蔵さまに導かれるように登っていくと、右手に視界がひろがってきます。

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小さな五丁石地蔵

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眼下に見える海南港、奥は淡路島

黄色いツワブキの花が、たくさん咲いていました。

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古道を彩るツワブキの花

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眺めのよい展望地

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手前・海南港、住友金属の工場を挟んで向こう側は和歌浦湾

傾斜がきつい上に、石がゴロゴロして歩きにくいところがあります。
ところどころで展望のよいところがあり、ひと息つきながら登ります。

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九丁石地蔵付近

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九丁地蔵さまアップ

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石がゴロゴロ

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景色を見て、ひと息入れる

竹林を過ぎ、十三丁石地蔵を過ぎると、筆捨松です。

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竹林の道をすすむ

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十三丁石地蔵さま

徳川家初代藩主頼宣公の命により、彫らせたと言われる「硯石」があります。
ここが筆捨松の根元。

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硯石

平安時代の高名な画家・巨勢金岡(こせのかなおか)が、あまりの絶景に絵筆を投げ捨てたのが、筆捨松の謂われだとか。
今は、ここではそれほどの展望はありません。

十七丁石地蔵を過ぎると、平坦な舗装道に出ます。
右折してすすむと、藤白峠です。

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十六丁石地蔵さま

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十七丁石地蔵付近、石畳の道

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舗装道を右折

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急坂から解放されて平坦で歩きやすい道

竹やぶの道を抜けると民家が見え、左一段高いところに、宝篋印塔(ほうきょういんとう)があります。

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宝篋印塔

その先には、地蔵峰寺。

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一石彫りの地蔵さまを祀る地蔵峰寺本堂

本堂の前を通り、舗装道を少し下ると、左に鯉の養殖池を見ます。
その先、左に道標があり、ここから細い道に下ります。

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舗装道を左折、路面に熊野古道のマークがある

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熊野古道の陶板

結構、急坂の下り。
眼下にみかん畑が広がり、たくさんのみかんが古道にはみ出ています。
手に取って、食べたい衝動にかられますが、とるのは写真だけ。

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鈴生りのみかん

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荷物運搬用モノレールの横を通る

樹木にからんだカラスウリを見つけました。
「カラスぐらいしか食べない」と言われていますが、意外と食用として食べられるそうです。
食べたことはありませんが…。どんな味がするんでしょう。
そのままだときっと美味しくないと思います。

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赤く熟したカラスウリ

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左はみかん畑

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集落のところへ下る

舗装された農道を横切りながら、下っていきます。
 
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小さな道標を見落とさないように

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倒木の下を通る

古道脇に咲く野草にも楽しませてもらいながら、下っていくと、下津町橘本の集落に入ります。

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よく見かける花だが、ジッと見るといい花だ

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ノアザミも多く見る

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壁面を染めるオキザリス

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山道でも見ました

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橘本の集落へ下る

県道に出る手前に、福勝寺へ向かう分岐があります。
道端の案内板を見ますが、そのまま直進して下ります。

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下る途中にある福正寺の案内板

県道を横切って、加茂川に架かる土橋を渡り、左へすすみます。
橋を渡ったところに、橘本土橋の案内板が立っています。

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加茂川に架かる土橋

民家が並ぶ市坪川に沿い、平坦な道をすすむと、橘本神社(所坂王子跡)が右に。

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橘本神社(きつもとじんじゃ)

今から1900年ほど前に、この地に橘の木(みかんの原種)が植えられました。
その実が日本で最初のみかんになり、菓子となったことから、この神社は、みかんとお菓子の神さまとして全国のみかん、菓子業者から崇められているそうです。

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神社の境内にある橘の木

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お社

市坪川の両脇に並ぶ民家を見ながらすすむと、山路王子神社(一壺王子跡)。

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市坪川に沿ってゆるやかに上っていく。前方の山の上には風車がいくつも

大きな土俵があります。
秋祭りに奉納される相撲は、「泣き相撲」と言われ、小児の健康を願うものです。
その様子は、何度かテレビで見たことがあります。

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山路王子神社の土俵

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泣き相撲の様子が紹介されている

山路王子神社を過ぎると、道は傾斜を増し、民家も少なくなってきます。
この先、きつい坂が待ち受けています。

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急坂に変わってくる

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急坂で振り返る。左から登ってきた。間違えて右へ下りてしまい登り返す

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急坂で途中の案内板

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案内板の横にある沓掛児童会館から振り返る

拝の峠まで長い急坂。
ここで暮らしている人は、車無しでは、とても生活できません。
ヘトヘトになりそう。

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直進してさらに登る

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風車が大きく見えるようになります

舗装道が山道になると、拝の峠までもう一踏ん張り。

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山道に入る

舗装道に出合い、右折すると拝の峠です。

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舗装道出合を右折

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拝の峠、左奥・標識のあるところが出合

拝の峠で左折し、下ります。

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拝の峠からの下り

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下り道から見る下津湾の眺め

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万葉歌碑がある

下って小さな登り返しがあり、それを過ぎれば、蕪坂王子跡です。

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登り返している道で、振り返る

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少しだけ黄葉が見られました

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大きな木の根元にお地蔵さま

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「これより有田市宮原畑地内」の標識。この先が蕪坂王子跡

ここは、岩室山ハイキングコースの分岐点にもなっています。
トイレ舎の建物の前を通り、東へすすむと岩室城址、岩室山です。

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左折してすすむと岩室山

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蕪坂王子跡

岩室山の道を左に見送り、急坂を下ります。
太刀の宮を右に見て、農道を交えながら下っていくと、爪書地蔵です。

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太刀の宮。玩具の刀がたくさん奉納されていました

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右にキウイ畑を見て下る

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目を引く道標

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爪書地蔵尊

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爪書地蔵の案内板

お堂の中には、自然石に弘法大師が爪で描いたと言われる阿弥陀さまや地蔵さまが祀られています。
格子の間から覗いて見ましたが、暗くてイマイチ、はっきりと分かりません。
お堂の横に写真が掲示されていました。

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お堂を振り返って見る。結構な急坂

紀伊宮原駅へと下ります。
古道は何度も農道と交差します。
道標があり、道を確かめながら下ると、間違うことはありません。

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交差するところにある道標

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一面、みかん畑

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みかん畑と宮原の町

坂を下り終え、道が広く平坦になると、山口王子跡があります。
東屋、案内板があり、ここで最後の小休止。

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山口王子跡

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山口王子跡の休憩所

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立派な案内板がある

山口王子跡を後にして、駅までほぼ一直線。
分かりやすい道です。

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ここは左、道標あり

熊野詣の途中で行き倒れて亡くなった旅人の墓・「伏原の墓」を見て、密集した家並みの道になると、駅はもうすぐ。

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伏原の墓

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宮原の家並み

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無人駅のJR紀伊宮原駅

12時54分紀伊宮原駅に着きました。
次の電車まで5分待ち。
グッドタイミング。(和歌山方面行きの電車は1時間に2本)。

持ってきたお弁当は、車内で食べました。
みかんいっぱいの畑の中を歩きましたが、みかんを売っているところは一つもありませんでした。
「あんなにみかんがあったのに」。
それが、ちょっと心残り。

藤阪峠と拝の峠の急坂は、結構、堪えました。
登りは当然ですが、下りも足腰にきます。
真夏に歩くには向いていません。

藤白峠へ向かう藤白坂、藤白峠から橘本への下り、拝の峠の手前、爪書地蔵から宮原への下りの一部で山道がありますが、多くは舗装道です。
危険箇所はありませんが、分かりにくいところもあり、道標要確認です。

藤白峠へ向かう途中で、数人の人とすれ違いました。
軽装でしたから、地元の人かも知れません。
それ以降、ハイカーさんには出会わず、ひとり静かな山歩きでした。
2019.11.04 / Top↑