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今から約百年以上前、加茂と奈良を結ぶ鉄道が走っていました。
関西(かんせい)鉄道・大仏線(通称・大仏鉄道)で、加茂と奈良間の9.9kmの短い路線です。
ところが、この鉄道は、わずか9年間で廃止となり、今では幻の大仏鉄道と呼ばれています。

秋晴れの好天気となり、相方さんのリクエストもあり、歩いてきました。

(奈良市観光振興課・木津川市観光商工課よりカラー版の「幻の大仏鉄道遺構めぐりマップ」が出ており、ルートはこれを参考にしました)

行程
近鉄奈良駅10:16ー10:34大仏鐵道記念公園ー10:58黒髪山トンネル跡ー11:29鹿川(しかがわ)隧道ー11:49松谷川(まつたにがわ)隧道ー12:06井関川橋梁跡ー12:21赤橋ー12:24梶ヶ谷(かじがだに)隧道ー12:36鹿背山(かせやま)橋台ー13:07観音寺橋台ー13:39JR加茂駅 距離約11.7km、所要時間(休憩含む)3時間23分、累計高度(+)約123m(ー)約173m



遺構めぐりマップは、加茂駅からのスタートになっていますが、逆コース・奈良から歩き始めます。

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近鉄奈良駅から歩き開始

登大路通りを大阪側に下り、船橋通りを右折して船橋商店街を歩きます。
近鉄奈良駅がまだ地下駅でなかった昭和期は、油阪に地上駅があり、船橋商店街は大変にぎわっていたそうです。

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船橋商店街入口

路面は石畳になっています。
古い家並みが残り、かっての面影が残る商店街です。
街路灯もちょっと変わったデザインで、目を引きます。

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石畳になっている

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歴史を感じさせる家屋

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ユニークな形をした街路灯

商店街を抜けると、佐保川に架かる下長慶橋。
橋から川底に残るレンガ製橋脚の基底部を見ることができます。

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下長慶橋と川底に残る橋脚の基底部(左手前)

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橋から見る。土が取り除かれ、形がはっきり

橋を渡ったところに大仏鉄道記念公園があります。
大仏駅の跡地に、奈良市と地元自治会の協力で造られた公園です。

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平成4年に造られた記念公園

記念公園の右から北にすすみ、一条通りを右折し東進。
法蓮仲町の交差点で、奈良加茂線に出たところで左折して、北へゆるやかに上っていきます。

鴻ノ池陸上競技場を横目に見てすすむと、高架橋が見えてきます。

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師走恒例の奈良マラソン会場、鴻ノ池陸上競技場

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黒髪山トンネル跡

ここが、黒髪山トンネル跡。
大仏鉄道では、最も急坂で一番の難所であり、機関車の負荷や石炭の消費も多く、木津駅経由の平坦なルートが開通すると、廃線になりました。
大仏鉄道唯一のトンネルでしたが、道路拡張で取り壊され、現在の姿になっています。

ここから下り坂となり、すすむと右に旬の駅「ならやま」の建物があります。

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新鮮な野菜や果物が売られている「ならやま」

寄り道をして、ちょっと覗いてみました。
柿が山積み。
種別毎に試食もたくさんあり、いくつかいただきました。
どれも、甘くて美味しい柿でした。
値段も安いです。

国境食堂を左に見て、次の梅谷口の信号手前で左に畑へ下る道に入ります。

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 国境食堂

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梅谷口の交差点、信号手前で左に下る

ここは標識類はなく、迷い易いところです。
あとで知ることになりますが、奈良市エリアの標識や案内看板類が少ないのに対し、木津川市エリアは標識類が充実していて、とても分かりやすいです。
「遺構めぐりマップ」を見ても、鹿川隧道の道筋は示されていません。
分かりにくいところだけに、改善をお願いしたいところです。

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畑の道に入り、水路の横をすすむ

畑の道を左回りにすすんだところにあります。
水路の突き当たりが、鹿川隧道です。
奈良市内で唯一、当時の姿を伝える遺構で、トンネルの上が大仏鉄道の軌道跡(現在の奈良加茂線・市道44号線)です。

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鹿川隧道

農業用水路として造られたもので、現在も利用されています。

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石積みの隧道

梅谷口の信号に戻って、奈良加茂線を北東へすすみます。
ゆるやかな上り道です。

奈良坂から見えていたレンガ色をしたタツタタワーの横を通ります。
ここは、タツタ電機テクニカルセンター。

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木津川の特産品タケノコをイメージして造られたタツタタワー(配水池)

梅見台西交差点の信号を渡った直ぐ先、左に松谷川隧道の道案内があります。
木津川市に入り、分かりやすい標示。
とりつきには、関西鉄道の社章(模型)。

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社章右横の階段を下る

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軽トラックが止まっているところを右折

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松谷川隧道

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レンガ造りの隧道、色違いのレンガが交互に配置されている

梅見台西の信号に戻り、色付いたケヤキ並木を見て、次の信号・梅見台の交差点で右折します。

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奈良加茂線、梅見台住宅付近のケヤキ並木

周りの景色が田園風景に変わってきます。
この辺りから、加茂側から歩いて来る何組ものハイカーさんとすれ違いました。
暑くもなく、寒くもなく、風もなく、絶好のハイキング日和。

遺構めぐりのマップを携えています。
人気のあるコースなのだと、改めて知りました。

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たくさんの人が並んでいるように見える

ゆるやかに上って下ると、下梅谷の信号。
ここにも案内板があります。

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交差点横にある案内板

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案内板の一部

井関川橋梁の跡。
今は道になっています。
南北に走る道に、当時の軌道の雰囲気が残っていると書かれていましたが、想像力の欠如した頭には、それを思い浮かべることはできませんでした。

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交差点を振り返る。右手前・梅谷カフェさん、レトロな雰囲気

民家が少なくなり、ますます田園風景が色濃くなってきます。

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収穫時期がすぎようとしているのに…

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竹やぶを横に見てすすむ

左に城山台公園(大仏鉄道公園)が見えてくると、右に分岐する道があります。
案内図を見てすすむと、赤橋です。

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赤橋への分岐にある案内図

レンガ造りの橋台で、生活道路として使用されています。

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赤橋、現役で活躍している

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赤橋の下から見上げる

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赤橋を反対側から見る。ここでも多くのハイカーさんと出会う

赤橋の下をくぐりすすむと、梶ヶ谷隧道があります。
坑門正面はイギリス積み、アーチ部分は長手積みのレンガ造り、下部は花崗岩の切石積みになっています。
(※イギリス積みとは、長辺を並べ次の段は短辺を並べる積み方)

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梶ヶ谷隧道

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案内図アップ

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トンネルから覗く

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トンネルから出ると、のどかな風景が広がっている

左に回るように道をとり、美加の原カンツリークラブの前を通り過ぎると、樹林の道に入ります。

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美加の原カンツリークラブ

道標があり、道なりにすすむと鹿背山橋台です。

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距離表示がありとても親切な道標

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鹿背山橋台

石積みの橋台です。
高さもあり、堅固な造りで姿も魅力的で、見た中では一番に惹かれた橋台です。

そこを過ぎると、木杭のようなものが並んでいて、かっての鉄道を思い起こさせるようなものがありました。
遺構めぐりマップには、何も記されていなかったので、大仏鉄道のものかどうかは定かではありません。

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大仏鉄道のものだろうか?

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赤いプレートが掲げられている

大仏鉄道の機関車は、赤色だったそうです。
魅力的な色ですね。
復元されたら、人気ものになること間違いなしです。

再び、樹林の道をすすみます。
小さな朱色の鳥居もありました。

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天王社の朱色の鳥居

途中から竹やぶになった道をすすむと、観音寺小橋台です。

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竹やぶの中をすすむ

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立入禁止になっている観音寺小橋台、すぐ後ろにJR線が走っている

旧大仏線と現在のJR大和路線が並行して走っています。
見ているときに、電車が勢いよく走りすぎていきました。

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観音寺小橋台の案内図

観音寺小橋台を過ぎてから陽当たりのよい道脇で、持ってきたお弁当を食べました。
午後1時前。この時間になると、加茂側から歩いてくる人はなく、静かな田園風景を見ながらのもぐもぐタイムでした。

食事を終えて道なりにすすむと、道は左右に分かれます。

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観音寺橋台にある案内図

分岐の左が観音寺橋台です。

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石積みの観音寺橋台、JR線と並んでいる

分岐を右に行けば「歴史を感じるコース」で、左は「田園風景を楽しむコース」です。
どちらをとっても、駅の手前で合流し加茂駅に着きます。

左の道で駅に向かいました。

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JR線側をくぐって振り返る

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観音寺橋台を過ぎて田園風景を見ながらすすむ

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加茂駅方向を遠望

駅までの道にも要所に道標が立っていて、分かりやすい道です。

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歩いてきた道を振り返る。石部川堤防付近

駅西口の手前には、レンガ造りのランプの小屋があります。
電気照明が普及する前、鉄道の灯火は主に石油ランプが使われていました。
ランプ小屋は、その照明や燃料になる油などが保管されていたところです。

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加茂駅開業時に建てられたランプの小屋

反対側、東口には駅東公園があり、ここには、動輪モニュメントが置かれています。

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大仏鉄道の案内板と動輪モニュメント

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JR加茂駅東口

穏やかなお天気でした。
休憩を含めて3時間半弱。
軽ハイキングという感じです。
歩道のない車道で車の往来に注意すれば、急な上り下りもなく、誰でも安心して歩けるおすすめのコースです。
2019.11.10 / Top↑