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浄瑠璃寺や岩船寺で知られる当尾(とおの)を歩いてきました。
この地域には、鎌倉時代後期から室町時代にかけて、多くの磨崖仏が造られました。
これらの仏さまは、行き交う人々の道しるべとして、今日まで静かに見守っています。

行程
近鉄奈良駅10:07=(奈良交通バス)=10:24浄瑠璃寺口バス停10:25ー10:39やけ仏ー10:54奥の院分岐ー11:08浄瑠璃寺奥の院11:10ー11:54浄瑠璃寺12:13ー12:46弥勒の辻ー12:53三体地蔵(昼食休憩)13:12ー13:17岩船寺13:46ー14:25大門阿弥陀磨崖仏ー14:58浄瑠璃寺口バス停15:21=(奈良交通バス)=15:45近鉄奈良駅 距離約11.2km、所要時間(休憩含む)4時間33分 累計高度(+)約529m


近鉄奈良駅10時07分発の加茂駅行きに乗車。
バス停には長い行列ができていて、ほとんどの人が、4分後の浄瑠璃寺直行バスに乗る人たちでした。
乗車して20分弱で浄瑠璃寺口、ここで降りて歩き開始です。

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バス停から浄瑠璃寺までは、約3km

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バス停から加茂駅方面に歩きます

250mほどすすむと信号があり、信号を渡り車道脇を歩いていきます。
のどかな田園風景が広がっています。
赤田川に架かる坂口橋を渡り、ゆるやかに上って行くと、加茂青少年山の家の看板が立つところにやってきます。
ここで、道は3つに分かれ、真ん中の道をすすみます。
左の道は、復路で下ってくる道です。

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前方に浄瑠璃寺へ続く道が見えている

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のどかな田園風景が広がる

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3つの分岐。道標があり分かりやすい

分岐からすぐのところに、元享3年(1323)造立のヤケ仏があります。
焼け跡が残り、首から上がひび割れています。

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ヤケ仏さま(阿弥陀石仏)黒ずみ、焼け跡が痛々しい

古くは辻堂と呼ばれる屋形(やかた)があったのですが、度々の火災で焼失してしまいました。
細い民家の道を抜けると、再び、車道に出て、ゆるやかな道を上ります。

右に、石仏が横並びになった、たかの坊地蔵の前を通り過ぎると、小さな石仏がたくさん並んだ西小(にしお)無縁地蔵があります。

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たかの坊地蔵

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西小無縁地蔵

道はゆるやかながらも、少しずつ傾斜を増してきます。
右に奥の院の分岐。
大きな案内板があります。
ここまでやってくると、浄瑠璃寺までは、あと400mほど。

奥の院まで行ってみることにします。
道標に、張り紙があり、
「台風による倒木、ナラ枯れによる枝の落下等危険な状況です。単独での入山は控えていただき、複数の場合も充分注意していただくようお願い申し上げます。」

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奥の院分岐

注意しながら下ります。
この地域は、当尾京都府歴史的自然環境保全地域になっています。

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荒れている

荒れ気味の道を下って行くと、川沿いの道になり、頼りなさそうな橋を渡った先に、不動明王が祀られています。

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通路を塞ぐ倒木は、処理されて歩くことができる

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橋の手前に「橋の根元が崩れかけています。ご注意下さい」の注意書き

中央に不動明王、左に矜羯羅童子(こんがらどうじ)、右に制多迦童子(せいたかどうじ)の脇侍。
手前の小屋は、崩れています。
しかも、傍の川は淀み、ドブ川のようなイヤな臭いがします。
威厳を保つ不動明王さまですが、この環境では、嘆き悲しんでおられるようなお顔にも思えます。

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手前の小屋は崩れている

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不動明王と二体の脇侍

ここへ来て、
「さて、奥の院はどこなのかな?」と思いました。
他の石仏には、案内板や道標があるのに、奥の院・不動明王に関しては、古い道標はあるものの案内板はありません。
この先に、奥の院があるのではないかと思い、山を登って行きました。
赤いテープもあります。

しかし、いくら登っても、それらしきものはなく、引き返しました。
奥の院は、不動明王さまのところだったのだと、後で気付きました。

どうも、長年の習性か、奥の院は山の上か、山深いところにあるという先入観があり、これで失敗します。

予定にはなかった、ちょっとした山歩きにはなりましたが…。
元の道(府道)に引き返し、車道をすすみます。

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府道と奥の院の間にある道標、木イチゴがたくさんありました

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これを見ると、食べたくなる。しばらく、もぐもぐタイム

右側頭上より高いところに笠を載せた阿弥陀さま(長尾阿弥陀磨崖仏)があります、
右側を歩いていて、見過ごすところでした。
左にある道標で、分かりました。

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鎌倉後期の作で、笠を載せた形は珍しいもの

お店が見えてくると、浄瑠璃寺です。

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 参道のお店には、地元ならではのものが並ぶ

浄瑠璃寺は、平安時代に貴族たちが思い描いた浄土の世界を形にしたものだと言われています。
池を挟んで向かい合う本堂と三重塔はともに国宝で、見事な美しさです。

本堂の拝観は有料ですが、庭の回遊はありがたいことに無料。
観光客もほどほどの人数で、ゆっくり見て回れます。

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池越しに本堂を見る

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紅葉は今が一番良いとき

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地面に落ちた紅葉の景色もいい

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本堂を池の奥から見る

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木々と池が織りなす美のハーモニー

池に小舟が沈んでいました。
かっては、舟を浮かべて楽しんだのでしょうか。
舟の縁に落葉が積み重なる光景に、風情が感じられます。

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なにかを物語っているかのよう

小ぶりですが」きれいな三重塔。
周りの紅葉が、より引き立たせています。

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本堂前から見る

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紅葉に浮かぶ

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端正で美しい

鐘楼の前には柵が置かれて、入ることができませんでした。
その周りも、とても、きれいな光景でした。

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鐘楼周りも紅葉

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通路脇のモミジの樹、木肌を取り巻く苔やシダがいい

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苔が張り付く石に紅葉の落葉

参道脇のお店で、お漬け物と柿、草餅を買って、岩船寺に向かいます。
石仏巡りの道で、岩船寺まで約2.6km。
浄瑠璃寺と岩船寺の道は、適度の起伏があり、歩く人が多い道です。

駐車場を右に見て、真っ直ぐすすむと、右の藪の中に三尊の磨崖仏があります。
左に阿弥陀如来坐像、中央・地蔵菩薩立像、右は十一面観音菩薩立像です。

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藪の中の三尊・鎌倉時代中期のもの

三尊の前は、T字路になっていて、左に折れると、加茂青少年山の家の方向。
帰りは、この道を通ります。
そのT字路から少し下ったところを右にすすむと、突き当たりにあたご灯籠。
背高のっぽの灯籠で、真ん中に灯明が立てられるようになっています。

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あたご灯籠

お供えのお花代わりに、フォックスフェイスが飾られていました。

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なんとなくユーモラスなフォックスフェイス

ここで右折してすすむと、からすの壺二尊・阿弥陀如来坐像と地蔵菩薩立像があります。

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阿弥陀如来坐像

阿弥陀如来坐像は、すぐ分かりますが、地蔵菩薩像は?。
左側面にありました。

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地蔵菩薩立像

すぐ先には、唐臼(からす)の壺。
唐の臼と書きますが、岩の真ん中が空いているのは、どういう意味があるのでしょう。
カラスとは、関係がないようです。

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唐臼の壺。なんのために、どうしてここにあるのでしょう

ここを過ぎると、山間の道という雰囲気です。
とても、静かな道です。

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周りは山の風景

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すれ違ったハイカーさん

T字路にやってきます。
ここから左折して上ると、岩船寺まで約400m。
直進してわらい仏、弥勒の辻へすすみます。
左折の道は、帰りに通ります。

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T字路の道標、直進します

T字路を少しすすんだところに、笑い仏があります。
三体の石仏はみな、笑っておられます。
二つの脇侍を従えた阿弥陀如来さま。

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当尾の仏像の中でも、特に人気の高い仏さま

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左・勢至菩薩、右・観世音菩薩

その三体の仏さまの手前には、寝仏さま。
長い間、ずっと土の中でお休みになられている仏さまです。

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写真では大きく見えますが、小さいので見落とさないように

山の道を上っていきます。
道脇には、石仏を刻んだ小さな道標が立っています。

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石仏が刻まれた小さな道標

車道に出ると、そこが弥勒の辻。
角に線で描かれた仏さまがあります。

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弥勒の辻・磨崖仏

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アップで見ても、分かりづらい

車道を横切り、左の山道に入ります。
角には、首の欠けたお地蔵さま。

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右に首の欠けたお地蔵さまがおられます

道が少し急になり、すすむと、右上に三体地蔵が見えてきます。
道を挟んだ向かいが平たくなっていて、ここでお弁当タイムです。

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大きな岩の上部に三体の仏さま

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三体の地蔵さま

持ってきたおにぎりと、浄瑠璃寺で買った草餅が、今日の昼食です。
三体地蔵を後にして、道が下り坂になると、岩船寺です。

参道入口にある大きな石風呂がすぐに目に入ります。
お坊さんが、身を清められたお風呂ですが、でっかい風呂。
どうして沸かすんでしょうね。

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寝転んでも入れるような大きなお風呂

山門の入口で、入山料400円を払って境内へ。

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ここは入山料が必要

山門をくぐると、正面に三重塔が見えます。
大きな菊の花が、出迎えてくれました。

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正面に三重塔、右に本堂

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本堂前から見る

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阿字池をはさんで見る

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本堂

シャクナゲが花開いていました。
石仏もたくさんあります。

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五月に咲くシャクナゲが、もう咲いている

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石仏が静かに佇む

阿字池を回るように巡り、鐘楼、さらに山上に続く散策路を歩きました。

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阿字池と十三重石塔

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三重塔側から本堂(左)を見る

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山茶花が咲く

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散策路から三重塔

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赤いお堂の色に黄葉が映える

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散策路から鐘楼を見る

鐘楼の鐘をつきました。
「生かされていることに感謝して、優しくおつき下さい」。
ちょっと強く、ついたかも…。

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鐘楼

余韻が残る響きを後にして、散策路を貝吹石へと足を延ばします。
何度か来ている岩船寺ですが、貝吹石へは、一度も行ったことがありません。
歩きやすい道ですが、やや急です。

散策路の一番奥が貝吹岩でした。
とても展望のよいところです。

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岩船寺、一番の展望どころ

ここ御本陣山は、その昔、周辺に三十九の坊舎があり、一山の僧を集めるために、この上に立って、ホラ貝を吹いた場所と伝わっています。

当尾地区で最も高く、西に生駒山、北は南山城から京都方面の山々がよく見えます。
入山料を払っているのですから、ここからの展望を楽しまないのは損です。
今まで、なぜ、来なかったのだろう。

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生駒山の展望

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北に広がる南山城の風景

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遠くに見えるのは、北摂、京都の山

岩船寺前で案内図を確認して、帰りの道へとすすみます。
ここからは、下りです。

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掲示の地図を見て、下る

車道を左折して、少し歩いたところに右に下る細い道。

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車道から細い道に入る

民家を見て下ると、右に急階段の下りがあります。
この下は、一願不動(岩船寺奥院不動)。

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一願不動へ下る階段

巨岩に不動明王が刻まれています。

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一願不動

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威厳のある不動明王さま、優しそうにも見える

元の道に戻りすすむと、手すりのある急坂下りとなり、往路のT字路に戻ります。

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途中には、巨岩も見られる

T字路で右折して、往路と同じ道を下ります。

藪の三尊のところで右折。ここで往路とは別の道を下ります。
民家の横を抜けていきます。

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沿道の簡易販売所、フォックスフェイスの飾り物やシシトウが並ぶ

首切地蔵と呼ばれる阿弥陀石仏に立ち寄ります。

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左に阿弥陀仏、首が修復されたように見える

さらにすすむと、右に古い神社があり、その向かいに大門石仏群があります。

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民家が点在

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古い神社、手入れが行き届いていない感じで寂しい

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たくさんの石仏がある大門石仏群

結構、歩いてきました。
石仏巡りの大トリは、大門の阿弥陀磨崖仏。
通りを右に下った仏谷にあります。

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右・仏谷に下る

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仏谷へ下る道で大門石仏 が見える

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広角レンズで撮ると小さく見えるが、実際に見ると迫力がある
 
もとは浄瑠璃寺の大門があったところで、その名が残っています。
巨大な花崗岩に高さ約2.6mの阿弥陀さまが造られています。

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とても柔和なお顔で、微笑んでいるようにも見える

当尾最大の石仏で、仏谷へ降りなくても、通りからでもよく見えます。

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通りからズームアップして撮る

仏谷付近の紅葉もきれいでした。

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仏谷付近の紅葉

紅葉も充分に楽しみました。
広い通りを下り、加茂青少年山の家を過ぎると、三つに分かれた分岐。
ここで往路の道に戻り、バス停へと急ぎました。


ハイキングで歩くには、ほどよい距離でした。
急なアップダウンはほとんどなく、危険箇所もありません。
(奥の院は若干あり)
気をつけるとすれば、車道歩きでの車くらいです。

当尾は京都府の最南部に位置しますが、公共交通は奈良駅からが至便。
京都の中心部と違い、人も多くなく、たくさんの石仏に癒やされて、歩くことができました。
2018.11.23 / Top↑
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